新生児マススクリーニングとは?
赤ちゃんが生まれて間もない時期に受ける大切な検査、それが「新生児マススクリーニング」です。
この検査は、生まれつき特定の病気を持っていないかを調べるために行われています。
早期に病気を発見し、適切な治療を行うことで、赤ちゃんの発達や健康状態を改善することができます。
どんな内容?何を調べるの?
生後5日前後に、赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取し、専用の紙に染み込ませて、専門の機関で分析・検査します。新生児マススクリーニングでは、主に以下の2つのタイプの病気を調べます。
先天性代謝異常症
体の中で栄養を分解したり利用したりする「酵素」がうまく働かない病気です。例えば、フェニルケトン尿症やガラクトース血症、メープルシロップ尿症などがあります。これらは放っておくと発育や知能に影響が出る可能性がありますが、早く見つけて治療すれば健康に育つことができます。
内分泌疾患
ホルモンのバランスが崩れる病気で、先天性甲状腺機能低下症や先天性副腎過形成症などが対象です。これも早期治療が鍵となります。
現在、日本では約20種類の病気を標準で検査しています(自治体によって多少異なる場合があります)。さらに、新しい技術(タンデムマス法)のおかげで、以前より多くの病気を調べられるようになりました。最近では、脊髄性筋萎縮症(SMA)や重症複合免疫不全症(SCID)といった病気の検査も対象となりました。
なぜ必要なの?
これらの病気は、生まれたばかりの赤ちゃんには症状がほとんど出ず、見た目には健康に見えることも多いです。でも、気づかないまま時間が経つと、突然体調が悪くなったり、発育に影響が出たりすることがあります。新生児マススクリーニングを受けることで、早期発見・早期治療が可能になり、赤ちゃんが元気に育つための大きなサポートになります。 例えば、特殊なミルクを使ったり、生活の中で少し工夫したりするだけで、病気の進行を防げるケースもたくさんあります。
リスクと注意点
新生児マススクリーニングは、全ての病気を発見できるわけではありません。
「検査」と聞くと少し不安になるかもしれませんが、ご安心ください。採血の負担に関して、赤ちゃんのかかとから採る血液はほんの少し(数滴程度)の量で、赤ちゃんへの負担はとても軽いものです。
まれに、偽陽性(実際には病気でないのに、検査結果が陽性となること)となることがあります。
その場合は再検査や精密検査が必要になります。
費用について
検査に関する費用は、お住まいの自治体によって異なります。
保護者のみなさんへ
新生児マススクリーニングは、赤ちゃんの健康を守る第一歩です。当院では、赤ちゃんの健やかな成長をサポートするために、新生児マススクリーニングを推奨しています。結果は通常、問題がなければ特に連絡はありませんが、もし再検査や精密検査が必要な場合は、早めにお知らせします。その際は慌てず、私たちと一緒に次のステップを考えましょう。 何か疑問や不安があれば、遠慮なくお話しください。赤ちゃんの健やかな成長を一緒に見守りましょう。
(2025/03/23)